2004/06/07卒業論文指導レジュメ
国社4年 010104k 石原佳菜子
テーマ 化粧品
キーワード 制度品 化粧療法 メイクの効果 ストレス QOL
(前回の質問より)
・ 化粧品の流通ルート
化粧品業界では、商品がメーカーから消費者にわたるまでの経路(流通)によって大きく[1]「制度品」「一般品」(開放流通品と呼ぶこともある)「無店舗販売」「業務用品」に分類している。 制度品(代表的なものとしては資生堂、カネボウ、マックスファクター、コーセー、花王など)流通には、どのメーカーの商品の流通でも共通の特徴が見られる。 メーカーまたはメーカーの販売会社から直接、小売店に販売されるという点だ。 メーカーが販売会社をつくり、そこから小売店に販売される場合が多いが、販売会社はそのメーカーの商品しか扱っていないので、卸売業と比較すると、採算をとるためには単位あたりの流通コストは高くなる。逆に、小売店への販売が重複しないようにテリトリーが明確に区分されることで物流の効率化が実現でき、メーカーの小売に対する指導がしやすくなる。
また、制度品を扱う小売店はメーカーまたは販売会社とチェーン契約をし、メーカー・販売会社から各種の助成を得る一方、メーカーの施策に協力するという関係を結んでいる。しかし、化粧品の領域が広がるにつれ、化粧品を扱う小売店は、従来のチェーン店にとどまることなく広がっていった。いわゆる新しい小売業態でも制度品化粧品が販売されるようになったのである。スーパー、CVS(コンビニエンス・ストアー)などがそうである。これらの業態では化粧品が中心とならないわけであるから、チェーン店とは異なる化粧品の品揃えと売り方がされている。
化粧品の流通量
商店数・年間販売額(1999年) |
||
業 種 |
商店数(店) |
売 上 高(百万円) |
化粧品店 |
24,008 |
1,385,215 |
薬局薬店 |
60,130 |
3,883,697 |
C
V S |
39,627 |
6,134,600 |
百貨店 |
395 |
9,708,704 |
スーパー |
36,978 |
32,571,757 |
小売業合計 |
1,406,905 |
143,846,186 |
・資料は1999年の経済産業省(前通商産業省)の商業統計
・スーパーには250平方メートル以下の専門スーパーも含む。
・薬事法の改正は頻繁なのか?
薬事法は昭和35年8月10日に成立している。今回調べた結果としては平成8年から平成15年6月11日に法律73号が改正になるまでに7年間でおよそ13回の改正が行われている。
・
消費者センターは相談を受けたら通達するのか?
[2]第3章 業務等
第10条 センターは、第3条の目的を達成するため、次の業務を行う。
(1) 国民に対して国民生活の改善に関する情報を提供すること。
(2) 国民生活に関する国民からの苦情、問合せ等に対して必要な情報を提供すること。
(3) 前二号に掲げる業務に類する業務を行う行政庁、団体等の依頼に応じて国民生活に関する情報を提供すること。
(4) 国民生活の実情及び動向に関する総合的な調査研究を行うこと。
(5) 国民生活に関する情報を収集すること。
(6) 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。
とあるように、主な業務の中に国民に対し情報公開はしているが、企業に対する通達義務は法律では決められていない。
1.化粧療法(cosmetic therapy)について
(1) 化粧の持つ意味
[3]「見た目」と密接に関係している化粧だが、外見の変化だけが化粧の持つ力ではないことを、メナード総合研究所(名古屋市)と日本福祉大学の共同研究は明らかにした。
これまでも、化粧の持つ心理的効用は、ポーラが研究した「好きなメイク」後の心理変化(積極性・気力・自信がアップし、さらに人とのコミュニケーションも活発になり、ポジティブな心理状態になる)でもわかっていた。そこで今回の研究はさらに一歩進んで、生理機能への影響まで踏み込んだ。メナード総研らによると、化粧をすることにより、女性ホルモン分泌が活発になって免疫機能も高まるという。
化粧をすることは、外=社会に向かって自分を作ること。この実験で、女性が心理的に感じていた化粧の効果が科学的に裏付けられた。
(2) 介護・治療としての化粧療法
化粧療法を取り入れている医療機関が痴呆患者40人を調査したところ、生き生きした表情に変わった人が9割、自分から着替えるなど身だしなみへの関心が高まった人が3割に上った。また、リハビリへの参加やおむつが外れるなどの効果が見られ、笑いのない硬い表情の高齢者が化粧をするうちに笑顔に変わり、自分が女性であることを思い出して自分を取り戻すこともわかっている。
社会問題化しているひきこもりやストレスによる軽症うつ(うつ状態)の治療にも、化粧が効果を発揮するのではないかと期待されている。
次に、化粧療法の中でも、がん患者を対象にした化粧療法について紹介する。
[4]がん患者は病名の告知と共に生命への不安を抱く。さらに乳がん患者は手術や抗がん剤治療などによる美容上の身体的変化などから、自尊感情が低下すると言われている。しかし医療現場では身体的治療が中心であり、精神状態のケアは二次的な対応となっている。 そこで乳がん患者の精神的[5]QOLを改善するため、化粧療法を開始した例がある。
対象は乳腺外科病棟に入院中の初発および再発の乳がん患者。一回あたり6人の患者が参加し、カネボウ化粧品化粧研究所のメーキャップアーティスト、外科病棟看護師、病院ボランティアと一緒に、自由に下地化粧からネイルケアまで約60分化粧をする。この化粧療法に参加した患者36人を対象にアンケート調査を実施したところ、化粧療法によって患者の不安感が低下したことがわかった。
患者の感想では、97パーセントが楽しかったと回答。94パーセントは疲労感も残らなかったと回答した。香りについても気にならなかった患者が94パーセントだった。自由記載でも美容上の身体的変化に対するイメージの改善や前向きな発言・感想が多く見られた。この病院では化粧療法の対象患者を乳がん患者に加えて婦人科系がん(子宮ガン、卵巣がん)の患者にも広げて実施している。
このように化粧療法は日本の医療に取り入れられ始めている。しかし、その化粧療法の効果については、療法直後だけでなく継続した効果が得られるかどうかや、治療としての免疫機能の向上などに寄与しているかどうか、という課題を挙げる医師も多い。これらの問題をクリアすれば化粧療法がますます日本の医療に浸透していくことになるだろう。